文化勲章受章が決まり、喜ぶ寂聴さん。84歳だった=2006年10月、京都・嵯峨野の寂庵(吉本旭撮影)

 昨年11月9日に99歳で亡くなった徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが15日、生誕100年を迎える。徳島市の四国霊場17番札所・井戸寺で納骨式が営まれるほか、10年間館長を務めた県立文学書道館では、寂聴さんが台本を手掛けた浄瑠璃「モラエス恋遍路」が上演される。県内の書店でもあらためて特集コーナーが設けられるなど、郷土が誇る偉人をしのぶ。

 寂聴さんは1922(大正11)年5月15日、徳島市塀裏町(幸町)生まれ。7歳の時に東大工町に転居し、現在もその地に生家があり、姉艶(つや)の孫である瀬戸内啓資(けいすけ)さん(57)が神仏具店を営んでいる。

 井戸寺での納骨式は、啓資さんと妹の宮本祥子さん(54)ら親族が計画。内藤佐和子・徳島市長、富永正志・県立文学書道館館長らをはじめ、母校の県立徳島高等女学校にちなみ城東高校の教員らが参列するほか、寂聴塾の教え子や抽選で選ばれた県内のファンら約90人が焼香する。

 寂聴さんは生前、住職を務めた岩手県天台寺と、長年暮らした京都、生まれ故郷の徳島の3カ所に分骨することを決めていた。

 県立文学書道館で上演される「モラエス恋遍路」は、寂聴さんが2007年に徳島で行われた国民文化祭に合わせて書き下ろした新作阿波人形浄瑠璃。国文祭で作曲を手掛けた鶴澤友輔さんが出演し、寂聴さんをしのびながら熱演する。同館では22日まで特別展「追悼 瀬戸内寂聴」も開かれている。

 晩年を徳島市で過ごしたポルトガルの文人モラエス(1854~1929年)は、寂聴さんが新町尋常小学校1年の時に、遭遇したことがある思い出の作家でもある。

 25歳で夫と幼子を残して出奔した寂聴さん。35歳で作家デビューし、人気絶頂の51歳で出家した後も、75歳で「源氏物語」の現代語訳を完成させるなど、亡くなる直前までペン一筋に生きた。多くのファンがエネルギッシュに生きた寂聴さんに思いを寄せる生誕100年の一日となりそうだ。

 せとうち・じゃくちょう 1957年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞。63年「夏の終り」で女流文学賞。73年、中尊寺で得度。98年「源氏物語」現代語訳を完訳。2001年「場所」で野間文芸賞。06年、徳島県人で初の文化勲章を受章。21年死去。