徳島県内の河川で、強度や高さ不足で決壊の恐れがある堤防の区間が約17キロあることが12日までに分かった。茨城県・鬼怒川の堤防決壊を受け、国や県は「対策を急ぎたい」としているが、厳しい財政事情もあって完了の見通しは立っていない。

 国土交通省と県は、福岡県で堤防決壊があった2012年度、過去の大雨被害の記録などを基に、県内42河川の約200キロを調査。「強度不足」で堤防に浸透した水が家屋がある側へ漏れ出したり噴き出したりする恐れのある区間と、「高さ不足」で流下能力が不足している区間について、堤防の強化や新設、河床掘削などの対策が必要と判断した。

 こうした区間は、国交省管理の3河川(吉野川、旧吉野川、那賀川)に16・0キロ、県管理の5河川(園瀬川、勝浦川、海部川、日和佐川、宮川内谷川)に4・4キロで、計20・4キロ。このうち14年度末までに対策が完了したのは約3・2キロにとどまっている。

 国交省管理で対策が必要とされた区間のうち、同省は14年8月の台風11号による豪雨で浸水被害の出た那賀川の加茂谷地区で築堤事業に着手。支流も含めて62億円の事業費が見込まれている。

 しかし、事業区間に含まれていない近くの7カ所で堤防の漏水が判明。那賀川河川事務所は緊急対策が必要かどうかを検討しているが「限られた予算の中で一気に進めるのは難しい」と話す。

 県管理の5河川では園瀬川、勝浦川、海部川の2・2キロで対策を施したが、残り区間の完了時期は未定。県河川整備課は「鬼怒川がどんな原因で決壊したかなどを分析した上で調査を検討したい」としている。