三好市西祖谷山村吾橋地区に伝わる「加羅宇多姫伝説」を題材にした創作劇の公演が13日、姫を祭る同村南山の古宮神社であり、約60人が悲哀の物語に見入った。
加羅宇多姫は、鎌倉時代の元弘の乱(1331年)で土佐(高知県)に流罪となった尊良親王の妻。伝説では、夫に会うため身重の体で京から旅に出たが、祖谷で死産してしまい、その後自らも命を落とした。
地元住民でつくる加羅宇多姫伝説保存会の会員9人が、境内で熱演。夫との再会を果たせなかった姫が、この地を訪れる人の幸福や安産を願いながら亡くなる場面では、涙をぬぐう観客もいた。
同村上吾橋の徳善タケ子さん(84)は「劇を見るのは2度目だけれど、思わず涙ぐんだ。緑に囲まれた中での公演もすてき」と話していた。
保存会は、地域の活性化につなげようと2012年から創作劇に取り組み、13年から古宮神社で公演している。