記録的な大雨が降り続いた7月7日、徳島ヴォルティスはホームで熊本と対戦しました。午後7時のキックオフを前に、試合開催が決まったのは午後1時半。雨の中、スタジアムに駆けつけたサポーターの様子を中心に写真で振り返ります。

 雨のため、スタジアム周辺でのステージイベントの多くは中止に。普段の試合前とは異なり、人が少ないスタジアム前で、傘をさしてレインコートを着たヴォルタくんとティスちゃんが「あめのなかきてくれてありがとう」「あめでもすいぶんほきゅうはしっかりしてね!」とメッセージを掲げてサポーターを出迎えていました。

 

 
 

 選手バスを迎えるころには、ゲートフラッグを掲げたサポーターが集まりました。ティスちゃんはサポーターにあいさつをした後、一緒に選手に手を振って応援します。

 

 

 数々のイベントが中止になった中、新加入のFWピーター・ウタカ選手がサイン会に登場。一人一人に丁寧にサインと握手をしていました。

 

 

 

 この日は七夕ということもあり、グッズ売り場近くのテントには笹と短冊が用意されていて、サポーターが勝利への願いを込めた短冊を笹に結んでいました。

 

 

 対戦相手の熊本のスタジアムグルメである馬肉を使ったハンバーガー「うまか亭」が出店。「この雨の中、わざわざ熊本から来てくれた」と徳島のサポーターが長い列を作りました。

 

 

 

 ビジター自由席には、熊本サポーターの姿も。四国と本州をつなぐ橋がすべて通行止めになり、交通手段が少ない中で何とかスタジアムに駆けつけました。太鼓の音やチャントの声をスタジアムに響かせます。

 

 熊本サポーターには、徳島のサポーターからも惜しみない拍手が。徳島のサポーターも「試合があるなら駆けつけて応援するだけ」と、雨の中懸命に声援を送ります。

 

 

 試合は時折雨が強く降る中、一進一退で終盤を迎えます。DFブエノ選手の出場がアナウンスされると、ゴール裏はざわつきました。「どこに入る?」「DF?」「前に入った!」とあちこちから声が。ピッチに入るとすぐに攻撃に参加し、ドリブルで駆け出したかと思うと、ヘディングで劇的なゴール!サポーターからはブエノコールが起きます。得点した後はGK梶川裕嗣選手の近くで守備に専念。「役目を果たして本業に戻った!」「漫画みたい!」とまた大歓声。1点を守り、徳島ヴォルティスは2連勝しました。サポーターは抱き合ったりハイタッチをしたりと喜びを爆発させました。

 試合後、徳島ヴォルティスの岩尾憲キャプテンは「マネージャーの阿部さんらが試合前に1時間かけてピッチの水をスポンジで取ってプレーしやすくしてくれたことと、この雨の中でも来てくださったサポーター、この二つが勝利の要因だったと思います」とスタッフやサポーターへの感謝を語りました。

 ロアッソ熊本の渋谷洋樹監督も記者会見で、「(両チームのサポーターに言えることだが)試合に来られなかった人、チケットを買ってでも見にいきたいと思いながらも気象条件で途中で諦めて帰らなければならない人もいたので、絶対勝利を届けたいと思った」とサポーターへの思いを一番に語りました。

 この日、鳴門ポカリスエットスタジアムを訪れたのは2974人。スタジアムに来られず、映像を通して応援した人はもっと多かったはず。各地の大雨による被害は大きく、まだ予断を許しません。

 大阪北部地震の後、「サッカーを見に来ることができるという日常の幸せを感じます」と話していた女性サポーターの言葉が思い出されます。大雨の被害がこれ以上拡大せず、多くの人が早くサッカー観戦の楽しみを取り戻せることを願っています。