ガラスの床から渦を眺める観光客=鳴門市の渦の道

ガラスの床から渦を眺める観光客=鳴門市の渦の道

 秋の大型連休・シルバーウイークの初日となった19日、徳島県内の行楽地は大勢の観光客でにぎわった。秋の5連休は6年ぶり。爽やかな秋晴れの下、県内外の家族連れらが徳島の自然や文化を満喫した。

 大鳴門橋の遊歩道「渦の道」(鳴門市鳴門町土佐泊浦)には、渦が起こりやすい干潮と満潮の時間帯を中心に家族連れやカップルらが続々と訪れた。45メートル下の海面に大小の渦が現れるたびに、歓声を上げたり写真を撮ったりしていた。

 家族3人で徳島市の実家に帰省した愛知県安城市の会社員芳田英朗さん(36)は「まとまった休みが取れたので、阿波おどり会館や上勝町などいろいろ巡りたい」と笑顔を見せた。

 観光施設・大歩危峡まんなか(三好市山城町西宇)が運航する吉野川の遊覧船には、例年のこの時期の約2倍に当たる約900人が乗船。近年増加している台湾、香港からのツアー客も訪れ、ごった返した。京都市から家族4人で訪れた会社員武藤玄さん(36)は「自然の雄大さを感じた。ぜひまた来たい」と声を弾ませた。

 阿波十郎兵衛屋敷(徳島市川内町)では、観光バスで訪れた県外客らが徳島の伝統芸能を楽しんだ。人形浄瑠璃の公演を初めて見たという大阪府泉佐野市の公務員塔本雅章さん(38)は「体を震わせて涙を流す表現など、細部にこだわっていてすごい」と目を丸くしていた。

 この日の交通機関は、徳島阿波おどり空港発着の東京線が上下便ともほぼ満席。南海フェリーは徳島着の夕方の便を中心に混み合った。高速道路に目立った混雑はなかったが、高松自動車道と神戸淡路鳴門道では21、22両日に5~15キロの渋滞が予測されている。