哲学者谷川徹三が残した資料の中から、交流のあった志賀直哉(1883~1971年)の長編小説「暗夜行路」の草稿を批評した手書きのメモが見つかった。主人公が鳥取県の大山に登山した場面の描写などを巡り「『暗夜行路』の背景に宗教的感情があり、それは宇宙的秩序に対する人間の敬虔、愛や無私の感情、人間的誠実につながる」と論じている。

 批評メモは74年7月15日付。暗夜行路に「科学文明と人類の将来についての危惧が書かれている」とも指摘した。

 調査した「谷川徹三を勉強する会」によると、メモは谷川が残した志賀直哉全集に挟んであり、講演で話すためのメモの可能性があるという。