120年前、徳島市出身の人類学者鳥居龍蔵(1870~1953年)が那賀町木頭で民俗調査をした際、住民に見せてもらった鉄製の矢尻2本が、当時の所有者の孫、丸山秀男さん(92)方に大切に保管されていたことが分かった。県立鳥居龍蔵記念博物館が昨年、鳥居の残した資料を基に確認した。専門家は、今後の鳥居の木頭調査研究に役立つとしている。

 同博物館によると、矢尻の一つは長さ15センチ、先端の幅3センチ、厚さ0・5センチ。別の矢尻は長さ15・6センチ、幅1センチ、厚さ0・8センチ。幅の広いものは「平根(ひらね)」、細身のものは「鳥の舌」と呼ばれ、主に室町時代から江戸時代初期に盛んに作られたとみられる…