住民税の算出に必要な職員の「給与支払報告書」を全て電子データで提出するよう昨年1月に地方税法で義務付けられた自治体のうち、今年2月に総務省が実施した調査では、徳島市など約4割が従来のまま紙で出す方式を併用していたことが22日、分かった。総務省が共同通信の取材に明らかにした。
 
 電子データ提出は行政手続きの効率化のために、民間企業に利用を促している取り組み。違反しても罰則はないが、推進する立場の自治体で導入が遅れている一端が浮かび上がった。

 電子データでの提出が義務付けられたのは、年収500万円を超す従業員を千人以上抱える事業者で、自治体も含む。データを記録したCD-ROMなどを提出することも認められているが、「eLTAX(エルタックス)」と呼ばれるインターネットで送信できるシステムを使うのが一般的だ。

 総務省によると、自治体で義務付け対象とみられるのは、2月調査時点で都道府県や中核市など全国166自治体。そのうち65自治体が、昨年分の各職員の給与支払報告書を居住地の市区町村に提出する際、用紙も使っていた。その後、システムを変更して電子化している可能性もある。

 eLTAXを導入していても、自治体の外から通う職員は、紙で出すケースが多いという。

 義務付け対象の徳島市は、市外に住む約2割の職員について紙での報告を続けている。システム改修に数百万円かかるといい、人事課担当者は「電子化してもこちらの負担は変わらない。財政が厳しい中で改修費を出すのは難しい」と明かす。