デザインや人工知能(AI)などの最先端技術が学べる私立高等専門学校「神山まるごと高専」(徳島県神山町)が、2023年4月の開校を目指している。理事長に就任が予定されているのは、名刺管理サービスSansan(東京)の寺田親弘社長。寺田さんは「神山町から未来のシリコンバレーを生み出す」とのビジョンを掲げ、大きな夢を抱いて学校づくりを進めている。開校されれば、高専新設は全国で約20年ぶり。なぜ今、四国の田舎町に高専を作るのか。自身の経験や高専にかける思いなどを全3回に分けて紹介する。
―神山まるごと高専は寺田さんにとって「2度目の起業」になります。元から起業に興味があったんですか?
経営者の父の元で育ったこともあり、小学生時代から起業を意識しながら生活をしていました。また、幼少期から戦国時代の書籍を読むことが多かったので、現代社会で天下を取りたい=起業したい、という意識を持っていました。
―2007年に名刺管理サービス会社を設立されました。ビジネス分野での起業はどうでしたか。
名刺を事業対象に選んだのは、自分自身が名刺管理に困っていたからです。ビジネスパーソンとしてのキャリアをスタートした際、名刺という「非効率なツール」に衝撃を受けました。世界では年間100億枚の名刺が交換されているとも言われており、この膨大な数の名刺をデータ化できれば、世界中に大きなインパクトを与えることができると考えました。
当時は手帳がスケジューラーになるなど、ビジネスツールがIT化されている環境でした。一方、名刺は依然として紙のまま流通していた。実際に「あれ?名刺どこ行った?」と探す作業を皆がしていました。本当に多くの人が無駄な時間を「名刺探し」に使っていると感じていました。
人脈探しの面でも課題があると思っていました。…


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