本年度から小学校の正式教科となった道徳の学習指導要領で、1、2年生の指導内容に、こうある。<よいことと悪いこととの区別をし、よいと思うことを進んで行う>

 まさか格好の教材を、身をもって示したわけではあるまい。文部科学省の局長が逮捕された受託収賄事件。国の補助事業に選ばれるよう東京医科大に便宜を図った見返りとして自分の息子を裏口入学させたという容疑に、世間の怒りが収まらない

 東京医科大には本年度3500万円が交付されている。事実なら、国民の税金を使い、わが子の進路に不正な手心を加えさせたことになる。ましてや、容疑者は教育行政の本丸の幹部。何をか言わんやだ

 違法天下りや加計学園問題、事務方トップのセクハラと、文科省は道徳が教科になる前年から不祥事続きである。あきれて言葉がない

 加計学園の理事長にも一言。指導要領には<誠実に、明るい心で>との記載もある。獣医学部新設を巡る疑惑で、ようやく開いた記者会見を予定より短い25分で打ち切った揚げ句、再会見の要請は「十分答えた」と拒んだ。教育者の対応として、どうか

 文科省が作った教本「私たちの道徳」の1、2年生版には、自分の良いところを友達に書いてもらう欄がある。文科省の良い点、加計学園理事長の・・・。残念ながら未記入で返すしかない。