西日本豪雨は、降り始めの6月28日から7月9日午前7時までに那賀町木頭出原で1365・5ミリ、三好市東祖谷京上で1045・0ミリの記録的な雨を降らせた。前線が四国付近に長期間とどまったことに加え、積乱雲が次々と発生して連なる「線状降水帯」が形成されたことなどが要因。四国山地に向かって湿った空気が流れ込んだため、山間部での降水が顕著となった。

 徳島地方気象台によると、6月29日から高気圧の縁に沿って南から湿った空気が四国山地へ吹き込んで周辺に積乱雲が発生。山間部は雨が降りやすい状況になった。7月3、4両日には台風7号が日本に接近した影響で大気の状態が不安定となり三好市や那賀町は発達した雨雲に覆われた。

 台風が去った後も、4日夜から8日昼すぎまで梅雨前線が四国付近に停滞。特に5日夜から6日朝にかけては風向きが北東方向に収束したことで高知県東部の四国山地から雨雲が流入しやすい状態になり、那賀町や海陽町付近で一時、線状降水帯が形成された。その後、風向きが北寄りに変わったため雨雲の流れが高知県中部から三好市方向へ変わった。

 

 三好市池田町では7日午前3時までの24時間降水量(293・5ミリ)と午後3時半までの48時間降水量(375・0ミリ)、同11時半までの72時間降水量(457・5ミリ)、同市東祖谷京上では6日午前3時10分までの72時間降水量(726・0ミリ)が、いずれも観測史上最大を記録。京上と那賀町木頭出原では降り始めからの総雨量が7月の月間平均雨量の3倍を超えた。

 徳島地方気象台の清水栄一次長は「人的被害がいつ起こってもおかしくない降水状況だった」と振り返り、大雨が予想される時には小まめに気象情報を確認するよう呼び掛けている。