県内有数の梅の産地・吉野川市美郷で、特産の梅干し作りがピンチを迎えている。昨年6月施行の改正食品衛生法で漬物製造業に許可が必要となり、2024年5月末までに衛生基準を満たす専用の作業場を設けなければ販売ができなくなるためだ。整備には多額の費用が必要となるものの行政の財政支援はなく、生産者の負担は重い。高齢化も進み、法改正を機に生産をやめる動きも出ている。
「新しい作業場を造るのは難しい。元気なうちは続けたかったけれど、年も年やし潮時かな」。枝川ミナコさん(84)=美郷下浦=にとって、販売用の梅干し作りは今季か来季が最後になる。自宅の物置や居間で漬け込みやパック詰めをした商品を、美郷物産館で販売してきた。他の生産者に比べて数量は少ないが、買ってくれる客がいるのを励みに出荷を続けたという。
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