那賀町横石の農業清水克洋さん(60)が、在来種に比べ1カ月ほど成熟が早いユズの新品種の育成に成功した。収穫開始を前倒しすることができることから、労力の分散につながるほか、ハウスなどの設備投資が不要になるといったメリットがある。25日、JAアグリあなんを通じ約800キロを京阪神などに初出荷する。
一般的なユズの収穫期は10月下旬で、農家の多くは、作業の集中を避けるために黄色く色付き始めた段階で収穫する。その際、エチレンガスをかけて着色させる手法を取っているが、ガスの影響でへたが枯れるリスクがあった。
新品種は9月下旬に成熟し、果皮が不規則に茶色く変色する病気「虎斑症」の発生が少ないという。
清水さんは2005年、所有するユズ畑でかなり早く色付いた果実を見つけた。突然変異とみられる。接ぎ木するなどして150本まで増やし、普及種「木頭6号」や「平の香」と比較しながら数年かけ調査した。
その結果、栽培環境や天候などに左右されることなく早期成熟することが確認された。清水さんは種苗法に基づき12年に品種登録を出願。14年10月、新品種として登録された。登録名は「清水のひかり」。
清水さんと共に新品種のデータを取るなどした県阿南農業支援センターの山本浩史阿南・那賀ブランド推進担当係長は「在来種より早く出荷できるのが強み。ユズ農家の所得向上につながれば」と普及に期待している。