ゆうちょ銀行の徳島貯金事務センター(徳島市)に勤務していた男性=当時(43)=が自殺したのは上司のパワーハラスメントが原因だとして、松山市に住む母親が同行に8189万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、徳島地裁であった。川畑公美裁判長は原告の主張を一部認め、同行に6142万円の支払いを命じた。
判決理由で川畑裁判長は「男性が職場の人間関係などでトラブルを抱え、体調不良や自殺願望を訴えていたにもかかわらず対応しなかった」と指摘し、安全配慮義務違反に当たると認定した。仕事上のミスについて2人の女性上司から叱責(しっせき)されるなどのパワハラを受けたとする主張は「業務上の指導の範囲を逸脱していたとは認められない」として退けた。
判決によると、男性は2013年7月に同センターに配属された。同行は、上司から仕事のミスを強く注意されるなどして男性が精神的に追い詰められていたのを知りながら、対策を講じなかった。男性は15年6月に松山市の実家で自殺した。
原告代理人の林伸豪弁護士は「正しい認定をしていただいたことは、大きく評価できる」と話した。同行広報部は「判決内容の詳細を確認した上で、今後の対応を決めたい」とコメントした。