剣山系の急斜面で行われている農法を紹介する本を出版した林さん

 鳴門渦潮高校教諭の林博章さん(50)=徳島市川内町沖島=が、剣山系の中山間地で行われる急傾斜地農法の特徴や農村風景を紹介する本を出版した。林さんはこの農法の世界農業遺産登録を支援する「徳島剣山世界農業遺産支援協議会」の副会長を務めており、その価値を伝えることで登録に向けた機運を高めたい考えだ。
 
 「剣山系の世界的農業文化遺産」(B5判、478ページ)と題し、美馬、三好両市、つるぎ、東みよし両町の急傾斜地を中心に営まれる独自農法を解説。林さんが撮影した写真2700枚や図も載せた。

 独自農法の一つが、土壌流出を防ぐ知恵や道具。急傾斜地では、雨などで崩れやすい畑を守るためカヤを土に混ぜ込んだり、農機具「サラエ」を使って定期的に土を持ち上げたりと工夫が凝らされている。カヤを円すい状に積み上げてつくる「コエグロ」も冬場にカヤを保存する珍しい手法だとしている。

 2市2町では2014年度から、農法を国連食糧農業機関が認める「世界農業遺産」に登録する動きを本格化させてきた。林さんは20年ほど前から個人的に剣山の民俗や歴史に興味を持って調査に取り組んでおり、その結果をまとめた。

 林さんは「山あいの集落に伝わる技術を多くの人に知ってほしい。登録されれば地域の目玉となり、活性化にもつながる」と話している。千部作成。5千円。10月中旬から県内主要書店で販売する。