鳴門市で民生委員を務める9人が、家族の介護で悩む人たちからの無料相談に乗り出した。超高齢化で介護の必要なお年寄りが増える一方で、家族が長期間の介護に疲れ果てるケースが少なくない。こうした悩みや不安を打ち明けてもらい、心理的な負担を少しでも和らげるのが狙いだ。毎月第2、第4火曜の午前10時~午後3時に市ボランティアセンター(同市撫養町)で相談を受け付けており、「気軽に相談して」と呼び掛けている。
9人は、家族を介護したり、ケアマネジャーなどとして福祉の現場に携わったりした経験がある。認知症の母親を今年1月に亡くなるまでの約1年間にわたり介護した松本久和子さん(66)=同市撫養町弁財天=が呼び掛け、「鳴門市介護者家族の会」を7月14日に発足させた。
会長になった松本さんは「介護の大変さは経験しないと分からない」と話す。母親の介護では、対応方法が分からずにいら立ったり、孤独感を感じたりしたという。
こうした自らの体験から、話を聞いてもらうだけで介護者の気持ちは楽になると考え、無料相談を発案。周囲の民生委員に声を掛けたところ、8人の賛同を得た。
相談日は2人体制で来所での相談に応対しており、それぞれの悩みや状況を聞いたり、逆に自らの介護体験を話したりしながら、一緒に解決策を模索している。松本会長は「苦しんでいるのは決して自分一人じゃないと励まし、安心させてあげたい」と話している。
会によると、県内には認知症やがん患者など疾患ごとの家族会はあるが、介護者全般を対象とした組織は初めてという。