県西部4市町の観光振興に取り組んでいる一般社団法人そらの郷(三好市)は10月から、剣山山系の急傾斜地に点在する集落を訪れるツアーを始める。古民家の風情や中山間地の眺望を楽しんだり、農作業の様子を見学したりする。各集落に残る伝統の急傾斜地農法の世界農業遺産登録に向けた機運醸成にもつなげる考えだ。
ツアーの対象は渕名、美村、貢、野田ノ井(以上美馬市)、猿飼、久藪(以上つるぎ町)、平、落合(以上三好市)の8集落。
このうち好きな集落を一つ(猿飼と久藪はセット)選び、最寄りの観光名所と併せ、日中の2時間半~6時間で回る。道幅が狭いため2~8人乗りのタクシーを使い、発着場所や出発時間は申し込み時に相談する。料金は大人1人4時間当たり8300円(子どもは千円引き)がベースとなる。
各集落では、斜度が30度近い急勾配の畑でソバや茶、山菜などを栽培。「コエグロ」と呼ばれるカヤを使った肥料を保存する独特の風習が残る。
国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている落合集落は外国人観光客から高い評価を得ており、そらの郷は落合以外の集落も独特の伝統文化が魅力的な観光メニューになるとみて、ツアーを企画した。
世界農業遺産は伝統農法や景観などを保全し、次世代へ継承するため国連食糧農業機関が2002年に設けた制度。美馬、三好両市とつるぎ、東みよし両町は14年に登録申請したが、落選した。15年度内に再度申請する。
そらの郷は今後、東みよし町の集落もツアーに組み込んでいく方針で、出尾宏二事務局次長は「集落に光を当てることで、住民が地元に誇りを持ってもらえたら」と話す。
ツアーの問い合わせはそらの郷<電0883(76)0713>。