南海トラフ巨大地震に備え、国土交通省が鳴門市撫養町大桑島の撫養港で整備を進めている大型浮体式防潮堤(フラップゲート)の2基が完成した。平時は岸壁の通路として使われ、津波襲来時に自動で立ち上がる。
同省小松島港湾・空港整備事務所によると、防潮堤は高さ約2メートルで、扉部分に軽い素材の硬質発泡樹脂が入っているため、津波を受けると浮き上がる構造となっている。海抜約2・3メートルに整備しており、正常に作動すれば、県の津波浸水想定による周辺の最大津波高3・3メートルを上回る高さとなる。幅約8メートルを2基、幅約6メートルを2基の計4基を並べる計画で、2015年2月に着工した。
完成したのは8メートルの1基と6メートルの1基。同事務所は今月3日、市職員や地元の自主防災会関係者ら約30人と共に、正常に起動するかどうかを確認した。ゲートの回りを土のうで囲み、扉の下からポンプで毎分5トンの水を注入。約10分で45度の高さまで上がった。点検した結果、水漏れなどの異常はなかった。
残り2基の防潮堤は2016年3月に完成する予定。
県内では他に、浮力で自動閉鎖する陸閘が阿南市の桑野川河口や美波町の日和佐港で整備されている。