国民全員に12桁の番号を割り当てるマイナンバー制度は、来年1月の運用開始に向け、各世帯に通知する作業が5日始まる。個人番号の通知カードは10月中旬以降に郵送される見込みだが、徳島県内の約2万世帯に届かない恐れがあることが、13市町の推計で分かった。届かない可能性があるのは、住民票を移さないまま転居した人や福祉施設への入所などで自宅を長期間空けている人ら。発送が迫る中、有効な手だてはなく、各自治体に懸念が広がっている。
カードは住民票に記載されている住所に転送不要の簡易書留で郵送される。不在の場合は郵便局で1週間保管された後、受け取りがなければ、役場に返送され、自治体が3カ月ほど保管する。各自治体とも今月5日をめどに発送先を確定させる。
自治体に返送される「不着率」を推計しているのは8市5町=別表参照。不着数を合計すると最大2万850世帯で、県内全世帯数の6%に当たる。11町村は推計していない。
徳島市は、2002年の住民基本台帳ネットワーク稼働時に住民票コードを通知した際、約1900世帯分が戻って来た事例を基に算出。転送不要で郵送することから、不着世帯は住民票コードの時を大幅に上回る最大6千世帯とみる。
阿波市は「健康保険証や選挙通知の送付時より多くなる」(担当者)と考え、不着率は最大で20%に上ると推計。1500~3千世帯に届かない可能性があるとみている。小松島市は郵便局に郵便物の転送を届け出ている世帯数を基に、800~千世帯と推計した。
各市町村は発送を前に、不着世帯数を減らそうと、現住所と住民票の住所を一致させるよう広報紙などで呼び掛けてきた。福祉施設の入所者らには現在住んでいる所でカードを受け取れる特例(9月25日で受け付け終了)があり、施設や病院を回って案内した自治体もある。
カードが市町村に返送された場合でも、現住所のある自治体で手続きができる。このため、役場窓口で受け取るよう求める案内文を、転居届が出ていれば新住所に転送される普通郵便で出すことにしている自治体もある。