秋の全国交通安全運動の開幕式典に参加した山橋さんとヴァルデス=9月17日、徳島県庁

秋の全国交通安全運動の開幕式典に参加した山橋さんとヴァルデス=9月17日、徳島県庁

 3日朝、トラックにひかれ、盲導犬ヴァルデスとともに亡くなった山橋衛二さんは、20年近く県内の学校を巡って講演活動を行うなど、盲導犬に対する理解を訴え続けた。山橋さんと、長年連れ添った「伴侶」を襲った突然の死。知人らは「どうしてこんなことに。残念でならない」と悲しみに沈んだ。

 知人らによると、山橋さんは19歳の時に交通事故が原因で全盲となった。事故後はつえを頼りに生活を送っていたが、数年後、盲導犬と出合い、一緒に暮らすように。ヴァルデスは3代目で、8年以上にわたってそばに仕えた。山橋さんは「自分の体の一部」と信頼を寄せていたという。

 盲導犬への理解を深めようと、歴代の盲導犬と一緒に1997年から県内の小中高校を回って年10回以上講演。「盲導犬はかみません。怖くないよ」などと訴え続けた。9月に県庁で開かれた秋の交通安全運動の開幕式典にもヴァルデスと出席し「盲導犬を連れた歩行者を見たら安全運転に気をつけてほしい」と呼び掛けた。

 山橋さんと長年親交があり、徳島の盲導犬を育てる会常務理事を務める住友武さん(72)=徳島市かちどき橋1、歯科医=は「盲導犬のイメージアップに尽力してくれた。12日に控えていた新しい犬との訓練も楽しみにしていたのに」と肩を落とした。同会事務局長の杉井ひとみさん(56)=同市大原町外籠=は「ヴァルデスは頭が良く優秀な盲導犬だった。事故に遭ったことが信じられない」とショックを受けていた。