約180人が幽玄の世界を堪能した能楽鑑賞会=美馬市美馬町の安楽寺

約180人が幽玄の世界を堪能した能楽鑑賞会=美馬市美馬町の安楽寺

 能楽鑑賞会(美馬能楽の会主催)が4日、美馬市美馬町の安楽寺能舞台で開かれ、約180人が幽玄の世界を堪能した。

 観世流能楽師の河村晴道さんらが世阿弥の代表作の一つ「忠度」を演じた。平家が朝廷の敵となったため、自分の和歌が「よみ人知らず」とされたことを未練に思った平忠度が亡霊となって現れ、選者の藤原俊成にかつて仕えていた僧に、自分の名前を書き入れるよう訴えるという内容。観客は、鼓と笛による囃子や謡、優美な舞に見入っていた。

 小松島市小松島町今開の萬宮千鶴子さん(75)は「運命に巻き込まれ、思いを残して亡くなった忠度の無念さを感じ、涙が止まらなかった」と感激した様子だった。

 安楽寺は1996年から毎年、能楽鑑賞会を開いている。