サーフィンのムラサキ湘南オープンで優勝した安室=神奈川県藤沢市の鵠沼海岸(ゲッティ=共同)

 2020年東京五輪で実施されるサーフィンのプロ最高峰チャンピオンシップツアー(CT)の予選シリーズ(QS)男子国内第2戦、ムラサキ湘南オープンは11日、神奈川県藤沢市の鵠沼海岸で行われ、徳島県の安室丈(17)=海陽町宍喰浦=が制してQS初優勝を果たした。

 昨年10月に世界ジュニア選手権で16歳以下の部を制した安室は、好条件の波が少ない中で乗る波を厳選。軽快に板を操り、波を最大限に利用した技を繰り出した。決勝は9・90点を出し、対戦したオーストラリア選手を0・80点上回った。

 2年前に優勝した新井洋人とCT出場の実績がある大原洋人は準決勝で敗れた。

 安室以外の徳島県関係では、ハワイ生まれで海陽町在住の上山キアヌ久里朱(17)と、海部高出身の西修司(21)が4回戦まで勝ち上がったが、ともに5回戦には進めなかった。

成長実感の試合運び

 東京五輪を見据える日本サーフィン界で、ホープがまた一人、存在感を示した。ジュニアでは世界の二大大会で表彰台に立った安室が、隙のない試合運びでシニア初勝利。確かな成長を実感し「すごく自信がついた」と白い歯をのぞかせた。

 決勝は「リップ(波の頂点)がよかった」と自賛したように、波の崩れ際から板を巧みに走らせた。1本目の5・00点と4本目の4・90点でリードすると、終盤は冷静に戦況を見極めて先に波を選べる優先権を保持。対戦相手に条件の良い波に乗らせず、逃げ切った。

 河村海沙コーチが「玄人好み」と評す正確な技術を持つ。駆け引きが苦手で勝負強さに欠ける面もあったが、飛躍のきっかけとなりそうだ。今年から日本サーフィン連盟の強化A指定で五輪代表を目指し、CTで技術を磨く20代の先輩たちの背中を追う。普段はシャイな新鋭も威勢が良く「抜かしていきたい」ときっぱり宣言した。