道の駅「くるくる なると」。オープン後1カ月も来場者があふれている=鳴門市大津町備前島

 鳴門市大津町備前島の道の駅「くるくる なると」が外国産ワカメを原料とする加工品の販売を中止するなど、商品の販売方法を巡って生産者や消費者から懸念の声が上がっている。開業後は徳島県内外から大勢の家族連れが訪れ、農産物直売所の売り上げも伸びるなど好調だが、地域産品の発信拠点としての在り方が問われている。

 道の駅は、市が整備した飲食店や物産スペースなどを備える交流拠点施設と、JA大津松茂が2019年に開設した農産物直売所「えがお」から成る。交流拠点施設は関東を中心に道の駅や商業施設を運営するTTC(静岡県)が指定管理者となっている。

 4月29日のオープンから1カ月間の来場者数は13万5千人と市の年間目標50万人の3割に迫る。市が好調の一因に挙げるのが、若者や女性をターゲットにした商品群だ。交流サイト(SNS)では人気商品の写真に「道の駅の食べ物がこんなにおいしいと思わなかった」といった感想を添えて投稿され、話題発信に一役買っている。

 施設に出品する地元企業からも明るい声が上がる。本家松浦酒造場(同市大麻町)の担当者は「日本酒の納品ペースが想定の2倍以上。観光客が多いためか3千~5千円ほどの高価格帯がよく出る」と地場産品の発信に期待を寄せる。

 順調な滑り出しを見せる半面、懸念もある。

 5月下旬には、交流拠点施設で売られていた外国産ワカメの加工品販売を関係者から指摘を受けて中止する問題も起きた。道の駅の名前にある「くるくる」という言葉を冠した商品もあった。

 交流拠点施設オープン前の1月には「えがお」を運営するJA大津松茂の組合員らが、市民らから集めた1142人分の署名を市に提出した。施設内に産直コーナーができることによる顧客流出を懸念したためだ。施設が産直機能をメインとせず、品ぞろえを重複させないよう要望した。

 これに対して市は、公的施設であるとの理由から、市内の別JAや市外の生産者の青果物も販売する方針を表明。同じ敷地にありながら、両施設で販売する一部品目が重複する事態となっている。市は「基本計画にJA大津松茂の賛同は得た。引き続き協議を進め、イベント実施などで連携を図っていく」と説明する。

 JA大津松茂によると、「えがお」開業以来、毎月の売り上げは前年比10%前後増加。5月1~23日はさらに10%伸びた。現状では開業効果が上回っているものの、「来客動向を見守りつつ、販売の折り合いをつけたい」とする。

 市は施設を単なる集客や収益目的ではなく、地元業者の魅力ある商品を掘り起こし、販路を広げる拠点と位置付ける。出足の好調さをどのように維持し、地元産品の魅力を発信しながら生産者の利益につなげるのか。市のかじ取りに注目が集まる。