徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 ポリオ、手足口病、ヘルパンギーナを起こす原因がエンテロウイルスです。ポリオを除く手足口病とヘルパンギーナは夏かぜの代表的な疾患です。今月はエンテロウイルスについて考えてみました。

 エンテロウイルスは主に腸管で増殖するウイルスです。感染経路は飛沫感染と糞口感染ですが、手足口病では水疱からの接触感染もあります。主に経口的に入ったウイルスは咽頭と小腸で増殖します。ウイルスは扁桃やリンパ組織で増殖し、一部が血中に入りウイルス血症を起こしますが、ほとんど症状が出ることはありません。さらに血液中のウイルスが肝臓、脾臓、骨髄、リンパ節などで増殖すると二次性ウイルス血症が起こります。二次性ウイルス血症に伴って中枢神経系、心臓、皮膚、筋肉などの標的臓器でウイルスが増殖すると、それぞれの臓器に特徴的な症状が出現することがあります。中枢神経では脳炎や髄膜炎が、心臓では心筋炎などが見られます。

 しかしエンテロウイルス感染症には明らかな症状が現れない不顕性感染も多く、非特異的な発熱だけで終る場合もあります。

 エンテロウイルスはポリオのように神経症状を示すことがありますが、手足口病やヘルパンギーナはほとんどの場合が発熱や発疹だけで終わる予後良好な疾患です。このウイルスに対しては一度罹ると免疫が出来ますから罹るのはほとんどが小児です。しかし手足口病で特殊な型のウイルスが流行すると成人が罹ることもあります。エンテロウイルスは夏かぜの代表的な原因ウイルスです。流行時にはウイルス型に注意して感染予防に心掛けましょう。