[上]7月3日に阿南市大潟町の大潟漁港に姿を見せた「オオちゃん」[下]6月26日に和歌山県串本町の荒船海岸に現れたアゴヒゲアザラシ(いずれも県立博物館提供)

 阿南市大潟町の大潟漁港に7月3、6日に姿を見せたアゴヒゲアザラシの「オオちゃん」が、6月26日に和歌山県串本町の荒船海岸に現れたアザラシと同一個体だったことが9日、徳島県立博物館の調査で分かった。アゴヒゲアザラシの同一個体が北海道以外の複数箇所で確認されるのは極めて珍しいという。

 県立博物館の佐藤陽一自然課長が、阿南市大潟町の住民が撮ったオオちゃんの写真と、和歌山県の太地町立くじらの博物館の職員が撮影したアザラシの写真を比較。いずれのアザラシにも、両目の間から前頭部にかけてT字型の太い模様があり、頬にある斑点の位置や大きさも同じだったことから、同一個体と判断した。

 大潟漁港に現れたオオちゃんが1週間前に和歌山県串本町の海岸で確認されたアザラシと同一個体ではないかと思い、調査した。

 県立博物館によると、オオちゃんは今年春に生まれた幼獣とみられる。国内ではアゴヒゲアザラシは北海道のオホーツク海沿岸にたまに出没する程度で、それ以外の地域に現れることはまれという。

 佐藤課長は「アゴヒゲアザラシの出現自体が珍しいこと。同一個体が複数の場所で確認された事例を国内では聞いたことがない」と話している。

 県内では、アゴヒゲアザラシの「ナカちゃん」が2005年11月~06年8月に阿南市の那賀川に居着き、今年9月15日から「コカちゃん」が同市の小勝島で断続的に姿を見せている。県立博物館によると、コカちゃんとオオちゃんは成長度合いが異なることなどから別の個体とみられる。