長らく日本経済が停滞する中で、経営者も若者もアニマルスピリット(野心的な意欲)を失ってしまった。これを取り戻さないといけない。私は、よく似た人形が次々と現れるロシアの「マトリョーシカ現象」と言っているが、日本は新しいことに挑戦しない雰囲気が強まっている。
安倍晋三元首相の経済対策のアベノミクスは劇薬だった。第1の矢である大規模な金融緩和、第2の矢の機動的な財政出動は当時は必要だったが、やはりカンフル剤だ。10年間続けた結果、そのひずみが出ている。本来であれば淘汰(とうた)される産業や企業にもじゃぶじゃぶとお金が行き渡ってしまい、成長に欠かせない競争が阻害された。
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