給油する運送会社の従業員。業界は燃料価格の高騰に苦しんでいる=阿南市の志満や運送

 産油国の減産や円安が長期化する中、徳島県内のトラック運送業界が軽油価格高騰に苦しんでいる。県トラック協会によると、年間5千万円近いコスト増となった業者もある。運賃への転嫁は思うように進んでおらず、厳しい状況を訴える。

 軽油1リットル当たりの県内平均小売価格は、経済産業省の6月27日の調査では150・4円と、2020年5月の95・1円から1・5倍以上に上昇した。

 県トラック協の湯浅恭介会長は「燃料が上がった分を運賃に転嫁したいが、ほとんどできていない」とため息をつく。経営する志満や運送(阿南市)は、主に京阪神方面に向けてトラックやトレーラー約100台を運行している。軽油の高騰はコスト増に直結し、21年度の燃料費は前年度比3割以上増加したという。

 トラック輸送の標準的な運賃について、国土交通省は軽油1リットル100円の基準価格を設定している。基準を上回った場合は、運送業者が超過分を燃料サーチャージとして上乗せし、荷主に負担してもらう仕組みになっている。拒めば独禁法などの法令違反になるものの、運送業者は値上げで契約を切られることを心配し、価格交渉に慎重にならざるを得ないという。

 中小企業庁が今年、経費上昇分の価格転嫁状況を調査したところ、トラック運送業界は、回答した業者の35・5%が運賃転嫁できていないか、逆に運賃を下げており、調査対象となった建設や食品製造など16業種の中で最悪となっている。

 政府は4月、地方創生臨時交付金に「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」として1兆円の枠を設けることを閣議決定した。

 これを受け、県トラック協は同月、飯泉嘉門知事に補助制度の創設と、運賃転嫁しやすくなるよう荷主への働き掛けを申し入れた。県運輸政策課の日野幸二課長補佐は「他県の支援状況を注視しながら対応を検討していきたい」と言う。

 協会の高林徹専務理事は「トラック輸送は国民の生活や産業活動を支えている。健全な経営を維持できる支援をお願いしたい」と話している。