徳島市が発行したパートナーシップを証明するカード。長坂代表は同性婚の法制化を望んでいる=徳島市内

 公的文書からの性別記載欄の削除や、性別を問わずに着られる学校制服の導入といった動きが広がり、近年はLGBTQなど性的少数者への理解が深まりつつあるかに見える。しかし、徳島県内の当事者は「まだまだ差別は根強く、カミングアウトできる状況ではない」と指摘する。参院選では性的少数者の差別解消に積極的な野党がある一方、自民党は消極姿勢が目立つ。政党間に温度差がある中、「争点にするのではなく、与野党が一致して差別解消に動いてほしい」と訴える。

 徳島市の介護職の男性(40)は、同性愛者であることを20代半ばまで独りで悩んでいた。今も公言してはいないが、信頼していた同僚に打ち明けたことがある。すると、知らないうちに広まっていた。陰で「病気なんじゃないか」と言われていると知り、ショックを受けた。「差別はまだまだある」と男性。勝手に携帯電話をのぞき見て、「男が好きなんか」と詰め寄ってきた親とは疎遠になったままだ。

 女性のパートナーがいる徳島市の女性会社員(36)は「私は公言しているが、仲間のほとんどは親や友達に話していない」と言う。周囲の人に「ずっと独身なのはもしかして...」などとうわさされるケースもある。「特に徳島のような地方は意識が昔のまま」

 性的少数者の差別解消に関する政策は、2019年の前回参院選から多くの党が公約に掲げるようになった。今回の参院選では立憲民主党や共産党、日本維新の会などが同性婚の法制化を公約に盛り込んでいる。一方、自民党の公約に関連施策への言及はない。

 国に先行し、自治体が独自に同性カップルらを公的に認めるパートナーシップ制度が広がる。県内では8市町が導入済みだ。半面、制度導入を求める陳情を議会が採択したにもかかわらず未導入の小松島市など、動きが鈍い自治体もある。導入を働き掛けてきた「レインボーとくしまの会」の長坂航代表(44)=徳島市=は「結局は首長次第。住む場所によって権利に差が出るのもおかしい」と指摘。パートナーシップ制度の限界と同性婚の法制化の必要性を実感している。

 昨年、超党派の議員連盟が準備を進めていた性的少数者に対する理解増進を図るための法案の国会提出が見送られた。自民党の党内合意が得られなかったためだ。それでも長坂代表は政治への期待を捨てていない。「自民党にも理解のある議員はいる。党派の違いを出そうとするのではなく、与野党が連帯して差別解消を進めてほしい。これは人権の問題だから」と訴える。

 「少数派」の生きづらさをどう解消するのか。政治とともに「多数派」の姿勢も問われている。

【まとめ】2022参院選徳島・高知
候補者の主張やプロフィルなど、投票の判断となる情報をまとめています。
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