校則の見直し向け、グループワークで意見を出し合う生徒=美馬市の穴吹中学校

 徳島県美馬市の穴吹中学校の生徒が、髪の長さや靴下の色など学校生活のルールを定めた校則「生徒心得」の改定を進めている。生徒から「時代に合わない」「不便だ」といった意見が上がり、快適な学校生活に向けて生徒主導で見直すことにした。これまでに全校生徒が意見を出し合って要望事項を洗い出しており、生徒会で検討を重ねて学校側に見直し案を提出する。内容によっては9月から反映される。県教委によると、生徒主体の校則改定は県内公立中学校では珍しい。

 穴吹中の生徒心得は、2005年に当時の生徒会が中心になって作った。髪型や制服の着こなし、学校内外での過ごし方などが定められている。

 ところが生徒の間では以前から「靴下の色は白だけでなく、汚れが目立たない黒も許可してほしい」「冬場は防寒のために膝掛けを使いたい」などと不満の声が相次いでいた。昨年12月に校則の見直しを公約に掲げて生徒会長選挙で当選した3年の谷依津希さん(15)は「入学して以来、校則に違和感があり、生徒同士で変えたいと話していた」と振り返る。

 制服や髪の長さの規定を男女で分けている点についても「LGBTQ(性的少数者)の観点から時代に合わない」という指摘がある。生徒会副会長の3年竹内ひなたさん(14)は「高校ではスカートかズボンか選べるのに、中学校もそうするべきだ」と訴える。

 具体的な大きさの決まりがない靴下のワンポイントなど規定の曖昧さから、教員によって指導法が異なり混乱する場面もあった。根拠を学校側に問いただしても「生徒心得で決まっている」という回答にとどまっていた。

 そこで「自分たちも今後入学してくる後輩も全員が納得できる校則に変えたい」と6月24日に全校生徒が参加して見直しに取り掛かった。ホワイトボードを使ったグループワークで制服や髪形、靴下などテーマ別に要望事項をまとめた。ある班は制服が原則となっている登下校時の服装を、雨に濡れても乾きやすくて動きやすい体操服でも可能とするよう要望。別の班は女子もズボンを選べるようにして制服の区分をなくすよう提案した。

 今後は生徒会と各学校委員会の代表者らが要望事項を基に見直し案をつくり、学校に提出する。谷さんは「全員の意見をできるだけ反映させ、みんなが快適に過ごせる学校にしたい」と意気込む。濱田雅子校長は「学校が勝手に変えるより仲間同士で考えた規則の方が意味を成す。みんなで決めるプロセスも共有でき、一つで多く採用したい」と話している。

 先進的な取り組み

 阪根健二鳴門教育大大学院特命教授(学校教育学)の話 ブラック校則を改善し、価値観の多様性を守るために校則の見直しが全国で広がる中、穴吹中の取り組みは県内でも先進的だ。生徒自身が話し合いの方法を工夫し、学校が今後どうあるべきかを自主的に考えており、主権者教育にもつながっている。引き続き個々の生徒のニーズをくみ取って進めてほしい。