粟山口停留所の標示板(右)が鳴門市から戻った経緯などが書かれた看板(中央)=三好市山城町粟山

鳴門市の海岸で見つかった粟山口停留所の表示板=2020年11月、同市鳴門町土佐泊浦(黒川さん提供)

 徳島県三好市山城町粟山にある市営バス粟山線・粟山口停留所に、「善意に感謝」と書いた看板が設置された。2018年7月の西日本豪雨で停留所の表示板が川の濁流に押し流され、鳴門市の海岸に漂着しているのを市民が見つけ、元の位置に戻ってきた経緯を記した。豪雨から6日で4年の節目を迎えたのを機に、甚大な被害が出た粟山地区の自治会長喜多二三男さん(70)が「表示板を送り返してくれた人の善意に応えたい」と手作りした。

 看板は縦35センチ、横75センチ。バス停の表示板(直径約30センチ)が西日本豪雨の約2年後に、鳴門市鳴門町土佐泊浦の千鳥ケ浜で見つかった経緯などをケヤキの板に記した。高さ1・5メートルの支柱に取り付けられており、トタン張りの屋根もある。喜多さんが6月に仕上げた。

 停留所の時刻表の位置には経緯を記してラミネート加工したA4判の紙を市が貼り付けていたが、喜多さんは善意を示したいと看板の製作を思い立った。「過疎地で起きた良い話。見に来てくれる人がいるとうれしい」と言う。

 表示板は20年11月、鳴門市内で行われた海岸清掃行事の参加者が岩場で見つけた。停留所は国道32号から山間部へ約8キロ入った県道沿いにあり、表示板は県道近くの白川谷川から本流の吉野川へと流されて海岸に打ち上げられたとみられる。

 清掃行事を主催した黒川剛史さん(44)=同市北灘町折野=が三好市に送り、市が傷んだ部分を直して停留所に戻した。黒川さんは看板の設置について「川の上流から海に流れ着く物があり、海と山の関係を示したような表示板に思い入れがあった。喜多さんの気持ちはありがたく、ぜひ見に行きたい」と喜んだ。

 粟山地区は西日本豪雨で土砂崩れや地滑りが多発し、1世帯を除く17世帯32人が避難した。今も道路復旧や地滑り対策工事が続き、7世帯11人は市営住宅などで避難生活している。

2020年1月19日公開「2年5カ月ぶりに『帰宅』 豪雨でなくなったままのバス停表示板、海岸で見つかる」
https://www.topics.or.jp/articles/-/475584