エリートツリーになる種子を生産するために育てられたスギ=石井町の県農林水産総合技術支援センター(県提供)

 県は2023年4月から、通常のスギに比べて成長が早い「エリートツリー」の植樹を始める。1970年代に植えられたスギが伐採時期を迎えており、伐採後に早期に根を張ることで山林での土砂災害を防ぐ。下草刈りの回数が減るため、林業従事者の負担軽減も期待されている。

 エリートツリーは、通常のスギの1・5倍以上の速度で成長し、花粉量が半分以下という特長を持つ。林野庁の主導で、50年代から開発と普及に向けた取り組みが進められてきた。

 県では、県内で採取されたエリートツリーの種子計5・5キロを、昨年1月と今年2月に県内の苗木業者に配布した。来年4月には植林に適した高さ約50センチの苗木に育つ予定で、初出荷を計画している。

 近年、輸入材の供給不足を背景に国産材の需要が高まっており、県産材の利用増が見込まれる一方、伐採跡地での土砂流出が懸念されている。このため県は、エリートツリーが災害防止とともに、近年深刻化しているシカによる食害への抑止効果にもつながるとみている。

 林野庁によると、スギの造林経費はスギの植栽から伐採までの50年間に1ヘクタール当たり約115万円かかる。うち8割以上の約96万円が、木が十分に育つまでの最初の5年間に発生するため、エリートツリーの導入により、期間が短縮し、経費や労働負担も減るという。

 徳島県は総面積の75・9%に当たる31万4千ヘクタールが森林に覆われており、そのうち43・3%の13万6千ヘクタールを人工のスギ林が占める。昨年は36万2千本のスギが植えられた。県は来年度から5年後をめどに、植林するスギの8割ほどをエリートツリーに置き換えたい考えだ。