暑さ対策のため天井の扇風機が回り続ける中、餌を食べる肉牛=阿南市椿町(米山喜義さん提供)

電気代を記した帳簿を見ながら、電力需給の逼迫に気をもむ米山さん=阿南市椿町

 今夏の厳しい暑さが予想される中、四国でも電力需給の逼迫(ひっぱく)が懸念されている。燃料価格の高騰に伴う電気料金の上昇に頭を悩ませる人も多い。参院選では電力の供給力強化などを巡るエネルギー政策の議論に期待が集まるが、盛り上がりはいまひとつだ。有権者は原発再稼働の是非や再生可能エネルギーの普及促進に向けた活発な議論を求めている。

 四国電力管内では、今夏の電力供給の余力を示す「予備率」は安定供給に最低限必要とされる3%をかろうじて確保できる見込みだが、四国電力は「厳しい需給状況」と危機感を募らせる。

 しかし、参院選でエネルギー政策の議論は目立たない。各党の考えを示した選挙公報では、一部の野党が脱原発や自然エネルギーへの転換を記載するのみ。徳島・高知選挙区の各候補者は原発再稼働や脱炭素などについての主張を掲げているものの、新型コロナウイルス対策や合区解消、物価高対策などの訴えに時間を割く傾向にある。

 阿南市椿町で肉牛約200頭を飼育する米山喜義さん(71)の牛舎では、暑さ対策のため扇風機がひっきりなしに回る。気温が30度を超えても全て動かさず、8割程度に抑える工夫はするものの「牛は暑さに弱く、気温が高くなると餌を食べなくなる。肉質を落とさないためにもこれ以上減らすことはできない」と節電要請に頭を抱える。電気代の値上がりで昨夏より経費が2~3割増える見込みで、表情はさえない。

 それでも米山さんが最も心配しているのは、電力需給の逼迫を理由に原発回帰の機運が高まることだという。「原発に頼らず、自然エネルギーへの転換を進めるべきだ。候補や党の考えを見極めるため、具体策を示してほしい」と注文を付ける。

 一方、電力供給体制を強化するために原発の再稼働を求める声も目立つ。県内で製造業を営む60代男性もその一人で、全国各地で停止する原発の再稼働を求める。これまでも工場や事務所の照明をLEDに交換するなど省エネ対策を進めてきたが、限界を感じている。今後の節電について「製造ラインを止めるわけにいかない。できることは限られる」と話す。

 伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が昨年末に約2年ぶりに再稼働したことを歓迎し、「経済活動を維持するにはベース電源として原発は必要。安全が確認できた原発は稼働させるべきだ」と力説。参院選終盤での論戦に期待している。

 太陽光発電の普及に向けた議論に期待するのは、徳島市国府町の男性会社員(38)。昨春に建てた自宅の屋根に太陽光パネルを設置。固定価格買い取り制度(FIT)に従い、自宅で消費しない分を国の決めた一定の価格で四国電力に売電している。

 不安を感じているのは、FITによる10年の買い取り契約が終了した後のことだ。男性は「契約終了後は買い取り価格が下がると言われている。希望の売電先を見つけられるだろうか。自然エネルギーの有効活用に向けた施策を充実させてほしい」と求めた。