全国の認知症グループホームの職員らが集まり、これからの認知症ケアの在り方について考える第17回日本認知症グループホーム大会(日本認知症グループホーム協会主催)が11日、徳島市のアスティとくしまで始まった。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になると推計されており、約千人の参加者は各地の事例発表などを通してグループホームの役割や課題について思いを巡らせた。
参加したのは、グループホームの介護職員や認知症患者の家族ら。厚生労働省の三浦公嗣老健局長が基調講演し、国の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)について「患者の立場で、容体に応じた切れ目のない支援を目指す」と説明。「現場の声を反映させるため、国に積極的に提案してほしい」と求めた。
テーマごとの分科会やボードに資料を掲示して説明するポスターセッションでは、全国の延べ約120事業所が事例を報告した。さくら(徳島市)は入居者の症状が重度になり、生活支援という本来の役割より、入浴や排せつの介助といった身体介護に重点を置かざるを得ない状況について説明。「忙しくても、一人一人に合った生活支援を工夫することが大切」と述べた。
ひなたぼっこ(鳴門市)は、暴言や暴力行為を繰り返した男性のケースについて報告。何らかの役割を担ってもらったり気分転換を図ったりしながら「どのような場面で症状が出るのかを予測し、事前に声掛けすることが重要だ」と指摘した。「薬の副作用で暴言などが著しくなることもある」と問題提起し、医療機関との連携の大切さも強調した。
やまもも(徳島市)は、近隣住民らとの交流の場として2カ月に1回開いている認知症カフェの例を挙げ、「住み慣れた地域で共によりよく生きていく環境整備につなげたい」と力を込めた。
大会テーマの「認知症サポートはお接待の心で」にちなみ、遍路文化に詳しい徳島文理大講師モートン常慈さんの特別講演もあった。
12日にはシンポジウムや講演がある。