2019年夏の参院選で徳島県の有権者は再び、高知県との合区選挙に臨むことがほぼ確実となった。その上、比例代表に特定枠を設けて、合区の選挙区から出られない現職を名簿上位に登載し、救済する制度も盛り込まれた。選挙区と比例を合わせ、全体で定数は6増える。

 自民党が提出した公選法改正案が参院を通過した。今国会中に成立する見通しだ。合区の継続にしろ、特定枠の新設にしろ、私たちの代表の選び方が果たしてこれでいいのか。問題だらけの改正案と言わざるを得ない。

 合区は「1票の格差」是正を目的に、16年の参院選で導入された。人口が少ない徳島・高知、鳥取・島根の隣接県同士を一つとした。

 投票価値の不平等は合区で是正されたが、弊害も指摘された。その代表例が、参院議員を送り出せない県が生まれるという新たな不平等だ。

 「地方の声が国政に届きにくくなる」との不満が合区対象県を中心に噴出した。候補者がより遠い存在になったためか、合区となった県では、前回参院選で投票率の低下や無効票の大幅増を招いた。

 あくまで前回参院選での合区は暫定措置という位置付けだった。実際、15年の公選法改正の際には、19年の参院選に向けて「選挙制度の抜本的見直しについて必ず結論を得る」と付則に明記された。

 しかし、今回の自民党による改正案は、抜本的見直しとは程遠い中身だ。

 前回の参院選時は高知と鳥取に自民党現職はいなかったが、19年の参院選では、合区対象の4県全てに改選を迎える同党の現職がいる。合区であふれた2人が比例の特定枠に回る公算だ。

 改正案の内容が明らかになった5月末以降、この比例の特定枠や定数増を中心に、野党がこぞって「自民党の党利党略だ」「ご都合主義だ」などと批判を続けてきた。世論を含め、すこぶる評判が悪い案だが、自民党は数の力で衆院通過に持ち込もうとしている。立ち止まり、周囲の意見に耳を傾けることができない政治に危機感を覚える。

 前回参院選での合区導入、そして3年を経た今回の改善策と、なぜ小手先の数合わせを繰り返すのか。久しく指摘されている衆参の役割に関する議論が一向に本格化せず、選挙制度改革に対する理念がないためではないか。

 合区解消を巡っては、参院議員を都道府県代表と位置付ける憲法改正案や、選挙区を都道府県単位ではなくブロック制とする案などがある。こうした制度見直しの議論は、一部を除き衆院とほぼ等しい権限を持ち、「衆院のカーボンコピー」と批判される参院の役割を問い直す好機となるはずだ。

 自民党改正案が成立に向かう過程からは「抜本的見直しについて必ず結論を得る」との約束がむなしく映る。有権者の政治への視線はますます厳しくなるだろう。