フランスの仲卸業者と商談を行うJA関係者ら=ドイツ・ケルン(県提供)

フランスの仲卸業者と商談を行うJA関係者ら=ドイツ・ケルン(県提供)

 ドイツ・ケルンで10~14日に開かれた欧州最大級の食品見本市「アヌーガ2015」で、JA東とくしま(小松島市)とフランス、イギリスの業者との間で商談が成立し、勝浦町特産の「貯蔵ミカン」が初めて両国へ輸出されることが決まった。EU圏への県産かんきつ類の輸出はユズ、スダチに続いて3例目。また、昨年からフランスへ輸出しているユズの大口出荷契約も成立した。
 
 貯蔵ミカンは、フランスのパリへ約5トン、イギリスのロンドンへ300キロを輸出する。パリへは来年1月と2月に空路で試験出荷した後、現地でかんきつ類が品薄となる2月下旬と3月中旬に船便で本格輸送する。昨年、県産ユズを輸入した地元のランジス市場の仲卸業者が購入する。
 
 ロンドンでは輸入貿易商社が仕入れ、現地にある複数の日系レストランに卸す。上勝町の第三セクター「いろどり」が出荷する葉わさびの彩(いろどり)商品と、県産ユズも取り扱う。欧州への彩商品の輸出は、昨年のフランスに次いで2カ国目となる。
 
 貯蔵ミカンは2月にフランスへ初輸出される予定だったが、日本より検疫基準が250倍厳しい特定の残留農薬が出荷直前に検出されたため、中止となった。県やJAは農薬の使用方法を示した農家向けガイドラインの改訂やチェック態勢の強化を行い、あらためて出荷体制を整えてきた。
 
 一方、県産ユズについてもJAアグリあなん、JA東とくしまと仲卸業者との間で計6トンを輸出する商談が成立した。昨年輸出した300キロを大幅に上回る。まず10月下旬に300キロを出荷した後、11、12月に残りを輸出。EU圏のスーパーやレストランに流通させる。
 
 アヌーガへは、県やJA徳島中央会などでつくる「とくしま農林水産物等輸出促進ネットワーク」が2年ぶりに出展。試食コーナーも設け、県産の農作物や加工品約70点を熱心に売り込んだ。
 
 県もうかるブランド推進課は「欧州への販路拡大を図るとともに、“ブーメラン効果”で国内価格の底上げにもつなげたい」としている。