梅雨も早々に明けて、暑い日が続きますね。東さんは最近はどんなゼロ・ウェイストの活動をしていますか?

 黄色と緑のズッキーニ、合わせて15本ほどを、地元の農家さんが店に届けてくれた。産直市で販売もしているが、たくさんでき過ぎて困っているという。飲食店なら使えるだろうと持ってきてくれた。別の日には、上勝での暮らしを伝えるwebマガジン「上勝クラシカル」で、「夫はきゅうりが好きだ」と書いた私の記事を読み、自宅にきゅうりを届けてくれる人もいた。つやつやとした新鮮な野菜をもらってうれしくなる一方で、どのように無駄なく消費できるかをより計画的に考える必要が出てきた。どうすれば、「食に関する無駄」を無くせるだろうか?

店や自宅に届いた野菜

食とゼロ・ウェイストにまつわる3つの課題

 食とゼロ・ウェイストについて、私は3つの課題を感じていた。1つ目は冒頭で触れた「余剰作物の有効活用」である。旬の食材は四季がもたらす恵みである一方で、その時季に集中するため、供給過多な状態を作り出す。今なら、ピーマン、なす、きゅうり、トマトなどの夏野菜は市場にたくさん出ているため、安く買える。農家さんから分けてもらえることもある。ただ、大量にいただくため、食べ切るのに苦労する場合がある。ぜいたくな悩みでもあるが、せっかくの食材を無駄なくおいしく食べるには、保存食などに加工するなどの工夫が必要だと感じていた。

 2つ目の課題は、上勝町内で「食事難民」が発生していることだ。小さな町では飲食店も数が限られている。複数の店が定休日の日に上勝町を訪れてしまうと、昼食の場所を確保することに苦労する。夜はより一層食事ができる場所が限られてくるため、予約をしたり、定休日を確認したりしておかないと、夕食にありつけない事態が発生する。そんな中で、私たちが運営するカフェ・ポールスターは、今年1月から毎日提供していた日替わりランチを日曜日だけに限定し、平日の食事はカレーのみの提供とした。半年が過ぎ、日替わりランチがないことを知って落胆するお客さまの声を聞く。お腹を満たすことだけでなく、地元の食材を使った「食事」へのニーズを実感しつつ、店の運営面では、平日にも日替わりランチを作れる人材を確保することが難しいとも感じている。

 最後の課題は、どうすれば「食」を「ゼロ・ウェイスト」をより身近に捉えるきっかけにできるか、である。ゴミをゼロにする活動と捉えられることが多い「ゼロ・ウェイスト」だが、無駄や浪費を無くすという意味もある。上勝町民はリサイクルを容易にするためにごみを分別することでゼロ・ウェイストに貢献していると言えるが、他のかたちでゼロ・ウェイストの活動ができないかと町内で議論されている。そこで話題に出ているのが「食」である。「食」というテーマがあれば、町内外の人とゼロ・ウェイスト活動を一緒にできるのではないか。

「ゼロ・ウェイストキッチン」を実践!

「ゼロ・ウェイストキッチン」のランチ

 7月28日・29日の2日間、食とゼロ・ウェイストを掛け合わせたイベント「ゼロ・ウェイストキッチン」をカフェ・ポールスターで実施した。フードデザイナーの小林幸さん(佐那河内村在住)と、管理栄養士の金村真友子さん(鳴門市在住)との共同企画である。当店が提供場所と素材の一部、滞在先を提供し、金村さん提案の「一汁一菜」スタイルで小林さんが料理を作った。一汁一菜にすることで買い物の無駄を無くせる、ピーマンのヘタやとうもろこしの芯から出汁を取る、など家で取り組みやすい工夫を伝えた。

小林さんと金村さんが作成したメニューとゼロ・ウェイストな食事に関する冊子

 実際にやってみて、改めて「ゼロ・ウェイスト」について新しい視点を得る機会を作れた。例えば企画側からは「『環境に負荷をかけない食事』という切り口から、メニューを考えては?」「どんな食材を選ぶのが、環境に良いのか?」といった提案や疑問が出た。ゼロ・ウェイストの町に暮らす私だが、具体的に話し合うトピックがあれば、深く考えるという時間ができるし、いろんな人を巻き込みやすくなると感じている。こういった実験をきっかけとして、「ゼロ・ウェイストってなんだろう?」と話す場や仲間ができるのもうれしい。

ゼロ・ウェイストキッチン後のディスカッションの様子

 シェフが一定期間地域に滞在し、地元の食材を使って料理を提供するというスタイルは、神山町の第三セクター「フードハブプロジェクト」が実施していた「Chef in Residence Program」に似ている。上勝町でも、料理ができる人たちが、ゼロ・ウェイストをテーマとして集っていく流れができれば、先に書いたような課題も少しずつ解決できるのではないか。

 現在、2回目のゼロ・ウェイストキッチンを8月9日・10日に実施予定だ。それに向けて、「ゼロ・ウェイストな『食』ってなんだろう?」と、改めて企画側では話し合っている。議論に混ざりたい、料理をしてみたい、という方はぜひ、参加してほしい。

【Memo】第2回ゼロ・ウェイストキッチンは8月9、10日の午前11時から午後3時まで。予約も可能。問い合わせはカフェ・ポールスター<tel 088-546-0338>。

東輝実(あずま・てるみ) 1988年生まれ。上勝町出身。関西学院大卒業後、町へ帰郷し、夫らと合同会社RDNDを設立し、カフェ・ポールスターを経営。NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー事務局長を経て、現在は仲間とともに上勝町で滞在型教育プログラム「INOW(イノウ)」を展開している。

 

東さんのコラム「Rethink 上勝町のゼロ・ウェイスト」は毎月第3金曜日に公開します。