朝起きは三文の徳という。「早起き」とも、「得」とも書く。いずれにせよ、早起きをすると何かしらいいことがある、と諭す
三文といえば、わずかな額ではないか。そのぐらいなら寝ていた方がまし、と考える無精者が多かったのかもしれない。そんな性根を正すように、似たことわざはいくらでもある。「朝起き五両」「早起き千両」「宵寝朝起き長者の基」
2020年東京五輪の日程案が明らかになった。マラソンは男女とも午前7時のスタート。陸上男子50キロ競歩にいたっては6時となっている。競技前に体調を整える必要もあるだろうし、選手はかなりの早起きを強いられそうだ
すべては暑さ対策だが、そもそも、「暑さ指数」で熱中症の危険が最も高い「運動は原則中止」が続くような時季に、なぜ開くのか。1964年東京五輪は10月のいい気候だったではないか
最近は、大きなスポーツイベントと重ならないよう、国際オリンピック委員会(IOC)がおおまかな日程を指定し、その中から開催都市が決めているという。20年大会は7月15日~8月31日のしばりがあった。巨額の放送権料や協賛金を払う企業への配慮もあってのことだろう
競技者の祭典も今や競技者第一ではない。商業主義が抜き難く同居している。早起きは三文の得。といっても、得をするのは誰だ。