森山暁生投手(阿南光)

森山暁生投手(阿南光)

 全国注目の左腕が初戦で姿を消した。鳴門渦潮打線を6安打1点に抑えながら敗戦の責任を一身に背負い込み、「すまん。申し訳ない」とチームメートに頭を下げた。

 プロ野球のスカウトが詰め掛けた今夏の第1戦。一、二回は三者凡退に退け、2三振を奪う上々の立ち上がり。しかし、六回2死二塁から高めの甘い球を右前に運ばれ、これが決勝点となった。

 投手出身の髙橋監督に才能を見いだされ、熱烈なラブコールを受けて阿南光に入学。二人三脚で歩んできた。2年生だった昨夏の徳島大会は4試合を1人で投げ抜き、チームを甲子園に導いた。しかし、沖縄尚学との1回戦で13安打8失点と打ち込まれ、全国レベルを思い知った。

 再び聖地で投げたい。その思いで走り込み、投げ込んできた。直球の自己最速は146キロまでアップ。満を持して最後の夏に臨んだ。ただ、この日は141キロ止まり。思ったように球が走らず、変化球を多投した。「後半にギアを上げようとしても上がらなかった。ベストコンディションで試合に臨めなかったのは、エースとしてあってはならない」と唇をかんだ。

 試合後、涙を拭ってプロ志望届を提出することを明言した。「髙橋監督ら支えてくれた人たちの気持ちに応えるため、プロの舞台で成長した姿を見せる」。トレーニングを続けながら、秋のドラフト会議を待つ。