新たに300冊を贈った井上さん=徳島市のふれあい健康館

 徳島市沖浜東2のふれあい健康館で、本の無料貸し出しコーナー「井上文庫」が人気を集めている。蔵書は小説を中心に約1600冊あり、読書家の井上秀人さん(67)=同市南昭和町5、歯科医師=の寄贈本を活用。熱心に通い詰めている常連も多く、1週間の平均貸し出し数は150冊に上っている。
 
 読書が趣味で年間100冊以上読破するという井上さんは、蔵書が多くなったのを機に「処分するよりも、多くの人に読んでもらえたら」と市への寄贈を決め、2012年に1300冊を提供した。寄贈を受けた同館は、1階情報コーナーの一角に「井上文庫」として並べ、利用者への貸し出しを始めた。

 作品はミステリーや時代小説が大半を占める。「優駿(ゆうしゅん)」「青が散る」などで知られる宮本輝の全集をはじめ、横山秀夫「半落ち」、高村薫「マークスの山」といった映画化された有名作品も多い。同館によると、連日多くの読書好きが訪れ、1カ月に10冊以上借りる常連もいる。

 多くの利用があることを知った井上さんは、さらに文庫を充実させようと今月8日、あさのあつこ「花宴」や青山文平「鬼はもとより」など、12年以降に購入した300冊を新たに贈った。今後も寄贈を続けていくという。

 井上さんは「小説から得られる知識は、仕事に生かせたり友人との会話に役立ったりする。文庫が多くの人の癒やしになればうれしい」と話している。