徳島県は、県内の野生生物の保全活動を行っている団体や研究者の取り組みを支援するため、県庁の生活安全課内に20日、「とくしま生物多様性センター」を開設する。保全活動に携わる団体などを結び付けたり、生物多様性のエキスパートとなる人材を育成したりし、在来種の保護や豊かな生態系のPRにつなげる。19日の定例会見で飯泉嘉門知事が明らかにした。

 センターは<1>情報収集・発信<2>ワンストップ窓口<3>協働活動のコーディネート<4>人材育成<5>多様性を活用した地域創生-の五つの機能を持つ。

 具体的には、NPO法人や事業者などさまざまな組織が持つ情報を集めて効果的に発信する一方、県民からの問い合わせに答えたり相談先を紹介したりする窓口になる。保全活動に取り組む団体や個人を結び付けて新たな協働の形をつくる調整役も果たす。また、講習会などを通して生物多様性のエキスパート育成を担うほか、自然景観や文化などの魅力を発信することで体験交流や観光誘客にもつなげる。

 県内で生態系の保全は活発に行われているものの、活動が特定の個人や団体に限られている面もあるため、県民に啓発し、より幅広く取り組みを広げるためセンターを設置することにした。県生活安全課の職員が業務を兼ねる。同様のセンター設置は、四国では愛媛県に続き2例目。

 知事は「多種多様な野生生物に恵まれた本県の貴重な財産を未来へ引き継ぐ」と述べた。