法話の会で娘とのエピソードを語る瀬戸内さん=京都市の寂庵

 徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(96)が15日、京都市の寂庵で法話の会を開いた。作家になるため、娘を置いて家を出たエピソードを明かし、「96歳まで生きて何にも後悔することはないが、そのことだけは、しちゃいけないことをしたと今も思っている」と語った。

 瀬戸内さんは全国から集まった約150人に、娘との暮らしを犠牲にして作家になったことへの思いを吐露。「娘はまだ四つで、お母さん行かないで、とさえ言えないほど幼かった。悪い母親だった」と悔恨の念を口にした。

 毎年、母の日にいろんな人から多くの花やプレゼントをもらうという瀬戸内さんは「本当の娘は何もくれず、気恥ずかしい」と言いつつ「自分が小さい時に捨てた母親に誰が贈り物をあげるだろう。私がそういう立場でもあげないでしょう」と話した。