徳島大学病院歯科口腔外科の藤原茂樹助教らの研究グループが、電気を無線で送るワイヤレス給電式医療機器の開発に取り組んでいる。多くの電源ケーブルが使われている手術室などでの医療事故を防止するとともに、患者のバイタルサイン(体温、脈拍など)を医療機関のサーバーに伝送できるようにして、救急医療に役立てる。

 計画では、徳島大理工学部の敖金平准教授らが開発したマイクロ波帯の電波を使った送電装置を活用。血中酸素濃度を測定するパルスオキシメーターや点滴の薬液を送るポンプ装置に電力供給し、人体への影響や他の医療機器に誤作動が起きないかを確認する。

 不整脈の一種の心房細動の検査に用いる24時間心電計にも応用。複数のセンサーを患者の体に取り付けて使用する心電計のワイヤレス化により、患者は測定中も動きやすくなり、ケーブルが絡まったり引っ掛かったりする恐れが解消できると期待される。

 県内の医療機関が保管する患者情報の共有システム「阿波あいネット」への接続を想定。救急救命や在宅医療に携わる医師が患者の情報を早期に把握できるようになり、より適切な治療がしやすくなる。

 研究は総務省の「戦略的情報通信研究推進事業」に選ばれ、2018、19年度の2年間で上限6000万円の研究費が支給される。

 藤原助教は「研究成果を挙げ、医療の安全に貢献したい」と話している。