徳島県内で新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多の931人を記録した27日、患者の急増に直面した医師たちは徳島新聞の取材に対し、検査キットなどの医療資材が不足している厳しい現状を訴えた。国が行動制限を求めない方針を示す中、自分の身は自分で守るよう呼び掛けている。

 

 徳島市川内町の岡部内科クリニックでは、1日当たり1、2人だった感染者が、今週に入ってからは検査を受けた人の半数以上に上昇した。岡部達彦院長は「医療への負担が徐々に増しているのを感じる」と危機感を強める。ただ、医療崩壊を過度に恐れて経済活動を止めると、社会に再び打撃を与えてしまうと指摘し、「県民一人一人が換気や手指消毒、ワクチン接種などの感染予防策にしっかり取り組みながら、社会をバランス良く回していくことが大切だ」と話す。

 新規感染者931人のうち、35%が感染経路不明だ。若槻クリニック(徳島市安宅2)の若槻真吾院長は、変異株の強力な感染力を指摘した上で、「きちんとマスクを着用するなどの基本的な対策は有効だ」と強調する。

 オミクロン株が主流になって以降、感染者の症状は軽くなったとされる。特に子どもは無症状で済むことも多かった。しかし、現在主流になりつつあるオミクロン株の「BA・5」については、重症度の変化も懸念されている。県医師会感染症対策委員長で田山チャイルドクリニック(徳島市北矢三町3)院長の田山正伸医師は「発熱や咽頭痛、頭痛を訴えるケースは多い。中には激しい嘔吐(おうと)や腹痛を訴える子どももいる」と言う。

 資材不足も懸念される。「先週から注文した数の検査キットが届かない状況が続いている。ないわけではないが、足りていない」と田山医師は不安を口にする。

 自宅療養者は4400人を超えた。県医師会は自宅療養する患者の相談に乗ったり、電話やオンラインで診療をしたりする「サポートドクター制度」を運用し、現在350人の医師が登録している。

 県医師会によると、従来は県入院調整本部が療養者と患者のマッチングをしていたが、療養者の急増によって調整が追い付かなくなったため、7月21日から県と協議して制度を変更。陽性と診断したかかりつけ医が、そのまま療養中もサポートできる仕組みにして対応している。ただ、1人の医師が受け持つ療養者数が倍になっているケースもある。

 田山医師は「国は緊急事態宣言などを出さないかもしれないが、自分で行動を抑制した方がいい。かかっても軽症で済むかもしれないが、身体はきつく、後遺症がある場合もある」と警鐘を鳴らす。