ヤガ類の被害を受けた桃を手に取る農家=板野町川端

ヤガ類のアケビコノハ(県立農林水産総合技術支援センター提供)

 徳島県内有数の桃の産地である板野町や上板町で、ガの仲間で果実の汁を吸うヤガ類に農家が頭を悩ませている。吸われると実が変色して出荷できなくなる。決め手となる防除策は確立されておらず、被害が深刻化して桃作りをやめることを検討する生産者もいる。

 県立農林水産総合技術支援センター(石井町)によると、ヤガ類のアケビコノハやアカエグリバなどは収穫直前の熟した桃や梨、リンゴの汁を吸う。吸われた箇所は変色して腐る。穴が小さいため選別が難しく、出荷後に見つかれば産地の信頼低下につながる。

 周辺の雑木林から夜間に飛来するため、農薬などを使った防除は難しい。防虫ネットや黄色の光でヤガ類を寄せ付けない「防蛾(が)灯」もあるが、高価で設置するのに手間がかかる。多くの農家は、捕虫網やヤガ類が好む液でおびき寄せて捕まえるのが精いっぱいだ。

 桃を作って21年になる石川浩史さん(71)=板野町川端=の約40アールの園では例年、収穫した実の5%ほどが被害に遭っていたが、今年は約10%に増加。被害は7月中旬に収穫が始まる中生種だけでなく、近年は6月中旬から収穫する極早生(わせ)種に広がっている。

 桃は手間をかけても収益が低下しているといい、石川さんは柿や栗などの作付けを増やしている。「楽しみにしてくれるお客さんに応えようと頑張ってきたが、あと数年作れるかどうか。桃は自分の代でやめることも考えている」と苦しい心情を明かす。

 センターによると、ヤガ類の被害に関する統計はないものの、被害は以前からあったとみられる。現在は仙台市の精密機器メーカーと連携して飛来を防ぐ超音波発生装置の実証実験を行っている。「産地を守るため早急に対策を確立したい」としている。