政府が、2019年度予算編成のルールを示す概算要求基準を閣議了解した。

 予算に枠を設ける歳出上限を6年連続で示さなかったことで、各省庁の要求が肥大化する恐れがある。財政再建への決意に欠ける基準だと言わざるを得ない。

 一般会計総額が当初予算として初めて100兆円の大台に達する可能性も出てきた。

 年金や医療などの社会保障費は、高齢者の増加を考慮して、18年度予算額から6千億円の増額要求を認めた。

 財務省は査定を通じて圧縮する構えだが、大丈夫なのだろうか。これまでは、編成過程で社会保障費の増加額を5千億円程度に圧縮する目安を設けていた。今回は柔軟に査定するとして数値目標の設定を見送ったが、調整は難しくなろう。

 ほかにも、北朝鮮や中国の脅威への備えを理由に、防衛費の増額圧力も強い。

 経済成長や人材育成などに手厚く配分するための特別枠は、18年度よりも1割多い4兆4千億円程度になる見込みだ。既存の経費の削減を条件に、各省庁から特別枠への要求を受け入れる。

 19年10月には、消費税率が8%から10%に引き上げられるため、今年末までに景気対策費を具体化させるが、与党からは来夏の参院選をにらんで、大規模な対策を求める声が高まりそうだ。数兆円規模になるとの見方もある。財政再建との兼ね合いに留意すべきである。

 必要性に疑問が持たれる施設など、予算の無駄遣いが分かる度に、施策を見る国民の目は厳しさを増している。省庁は要求のための要求ではなく、産業振興や国民生活の向上のため、実効性に富む施策を講じてもらいたい。

 地方への目配りも欠かせない。景気の回復傾向や企業業績の好転もあって、国の税収は好調だ。地方交付税の増額要求が強まるのは自然の成り行きであろう。

 今月、近畿や中国、四国などを襲った西日本豪雨は河川の氾濫などを引き起こし、甚大な被害をもたらした。

 徳島県内でも、土砂崩れによる道路の寸断や断水が相次ぎ、県民生活が脅かされた。 道路などのインフラはまだまだ脆弱であり、整備が必要である。治水や崩落対策など安心して暮らせる基盤づくりを進めてほしい。

 近い将来の発生が予想される南海トラフ巨大地震への備えも重要だ。津波対策は喫緊の課題であり、予算措置を惜しむべきではない。

 財務省の査定では、これら真に必要な経費と、不要不急の経費を厳しく選別することが大切である。

 気になるのは、公文書改ざんや前事務次官のセクハラ問題など相次ぐ不祥事で、査定する財務省の発言力が低下していることだ。

 さまざまな名目で予算獲得を目指す省庁に対し、財務省は毅然とした姿勢を示してもらいたい。