神山町鬼籠野の研修園地にて。朝晩の寒暖差が大きく、香り高いすだちが育つ。

【すだち農家】里山みらい 農業研修生
 矢部貴大(たかひろ)さん(25・愛知県出身)

 神山町のNPO法人「里山みらい」の農業研修生。町内にある研修園地の管理を通して、すだち栽培のいろはを学ぶ。7月現在は、お盆明けの収穫に向けて摘果・摘葉作業の真っ只中。「果実全体に太陽が当たるようにして、果皮の緑色を均一にする目的があります。すだちは見た目が命なので」とはにかんだ笑顔を見せる。

 農業と出会うきっかけとなったのは、和歌山大学の「地域交流援農サークル agrico」での活動。「なんとなくおもしろそう、という軽い気持ちで入ったのですが、農家さんや農協の職員さんとおしゃべりをしたり、農作業の手伝いのお礼に採れたての野菜を分けてもらったり。それがけっこう楽しかったんです」。その後も岩手県での農村ワーキングホリデーに参加するなど、積極的に農業に関わった矢部さん。卒業後すぐに就農することもよぎったが「お世話になっていた農家さんに話すと『農家はいつだってなれる』と言われて」、一旦就職することにした。

 就職したのは、大阪府にある農協の指導機関。業務はオフィスでの事務作業が中心だった。「分かってはいたものの、畑とは縁がない環境。やっぱりどうしても農業がしたかったんです」。果樹柑橘を育てたい、と移住先を検討。妻の故郷である徳島に、「里山みらい」のすだちに特化した農業研修生制度があることを知り、昨年6月に3期生として参加した。

 最初の1年間を「あっという間だった」と振り返る。「地元の農家さんの支えもあって、大変だったけどやりがいがあった。8、9月の暑い収穫時期に、緑の中から緑を探して、一つひとつ採ってはコンテナに入れて。1年間手をかけたものが一つの成果物になるのが嬉しかったですね」。今年4月からは「徳島かんきつアカデミー」の生産技術力向上コースにも入校。週に一度勝浦町に通い、柑橘栽培についての知識を深めている。

 里山みらいでの研修期間は来年の5月まで。終了後はすだち農家として独立予定だ。「まずは、すだちで生活ができるようになるのが一歩目。軌道に乗せられたら、他業種とのコラボや6次産業化にも挑戦したいです」。

>>里山みらい
徳島県神山町鬼籠野東分3-1
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