藤田元治市長

 7月10日に投開票された参院選で、美馬市の藤田元治市長(60)=同市美馬町宗ノ分=が特定候補への投票を市職員に依頼するなどしたとして、公選法違反(公務員の地位利用、事前運動)の疑いで徳島県警から事情聴取を受けていた事件で、県警が9日に同容疑で市長を書類送検する方針を固めたことが8日、関係者への取材で分かった。

 捜査関係者らによると、藤田市長は選挙運動が認められていない参院選公示前の6月中旬、市役所内で数十人の職員に、自民党から比例代表で立候補して再選された足立敏之氏(68)への投票を依頼した疑いがある。公選法は、市長ら特別職を含む公務員がその地位を利用して選挙運動を行うことを禁じている。

 県警は7月27日に市役所と藤田市長宅を家宅捜索した。県警の聴取に対し、容疑を認めているとみられる。

 藤田市長は、足立氏の顔写真や経歴が記載された名刺サイズのパンフレットを持って各課を訪問。支持する候補者がいないかを確認した上で、いなければ「こういう人もいるので、よかったら」「美馬市のためになる」などと話し、パンフレットを手渡した。他に支持する候補者がいる場合にも「こんな人がいるから」と足立氏を紹介したという。

 徳島新聞の取材に対し、藤田市長は同市で目標とした足立氏個人の得票数は千票だったと明らかにしている。各課を回った際、職員に居住地を質問。市外在住だと分かれば、それ以上は何も言わない場合があったようだ。

 公務員の地位利用による公選法違反罪の法定刑は2年以下の禁錮、または30万円以下の罰金。事前運動は1年以下の禁錮、または30万円以下の罰金が科せられる。

 起訴か略式起訴され、罰金刑以上の有罪が確定すれば原則5年間、公民権が停止されて市長は失職する。ただ公選法は、裁判所が情状面を考慮して公民権停止期間を短縮できると定めている。