全国で唯一、電車が走行していない徳島県で自作の電車を走らせようと、徳島大の学生有志が車両造りに取り組んでいる。現在は試作車両の台車部分が組み上がった段階で、2019年秋の完成を目指している。
16年4月に「阿波電鉄プロジェクト」と銘打ちスタート。現在は1~3年の14人で活動し、鉄道会社を見学して電車の構造を学んだり、金属加工設備を備えた学内の機械実習工場で車体のフレームや線路などを製作したりしている。
製作中の車両は車体が全長3・2メートル、高さ2・5メートルで、運転手と車掌、乗客4人の6人乗り。レール幅はJRの在来線(1067ミリ)よりも狭い762ミリで、長野県の事業者から譲り受けた中古車輪を利用し、学内の教員が製作したモーターで走行する。電力は蓄電池で供給する。
来秋までに、現在の簡易ブレーキよりも制動力の高い空気ブレーキを製作し、時速10キロで50メートルを走らせる目標を掲げる。完成後は学外のイベントに出向き、試乗してもらう計画だ。将来は営業運転している県内の路線で走らせるのが夢だという。
学生の自主活動を支援する徳島大創新教育センターのプロジェクトとして認められ、活動資金として2年間で約70万円支給された。ただ、車体製作に必要な鋼材や電機部品などの購入費用が不足しており、インターネット上のクラウドファンディング(CF)で資金提供を募っている。20日まで。
リーダーの萩原孝紀さん(19)=理工学部2年=は「メンバーで力を合わせ、夢を実現させたい。力を貸してほしい」と話している。問い合わせは同センター<電088(656)8236>。