徳島県内で1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者数が初めて千人を超えるなど感染が急拡大する中、医療機関でのクラスター(感染者集団)が相次いでいる。県の集計によると、7月は月別で過去最多の9例に上り、1~6月の月1、2例から急増した。8月に入ってからも既に5例(8日時点)発生しており、院内感染の防止や人手不足のため、診療制限を余儀なくされている。救急車到着後に搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」も増え、現場からは医療体制の逼迫(ひっぱく)を懸念する声が上がる。

 阿南医療センター(阿南市)では7月10日に職員2人の陽性が判明し、19日までにスタッフ約600人のうち計43人が感染した。入院患者の感染は3人。これとは別に、感染した家族などの濃厚接触者となって出勤できない職員も複数いた。

 感染が判明すると、発症から原則10日間、無症状者は検体採取から7日間の療養が求められる。濃厚接触者の待機は5日間(抗原検査で2回続けて陰性なら陽性者との接触から3日目に解除)となっている。

 このため、センターでは勤務できる医療従事者が足りず、12日から診療の一部を制限し、通常の診療体制に戻ったのは25日だった。

 村上和也事務長は「これほど多くの感染者が出たことはなく、変異株の感染力に驚いた」と話す。マスクを外す昼食時の注意喚起や手指消毒、換気などの対策を改めて徹底している。

 8月に入っても医療機関のクラスターは相次いでいる。徳島市民病院では4日時点で、職員17人と入院患者7人の計24人が陽性となった。院内の感染拡大を防ぐため、7月31日から救急の受け入れや手術を一部制限している。

 国は医療従事者に限り、濃厚接触者となっても毎日の検査で陰性を確認すれば勤務できるとしている。加藤誠治事務長は「スタッフが逼迫する状況になれば、待機ルールの見直しも院内で検討しないといけない」と話した。

 一方、徳島市消防局によると、7月の救急搬送困難事案は66件と6月の29件から倍以上に増えた。このうち新型コロナ感染が疑われる事例は7月が18件と前月比6倍に伸びた。同局によると件数は増加傾向にあり、「搬送できなかった例はないが、医療機関側の受け入れ態勢の逼迫が心配だ」とした。

 7月は医療機関以外でも小学校14例、高齢者施設13例、児童等利用施設10例などクラスターが多発した。