徳島大学病院のギャラリーで2009年から開かれている武蔵野美術大(東京)の学生の作品展が10回目を迎えた。展示しているのは、身の回りにある素材を使い、学生が工夫を凝らして生み出したオブジェなどの力作ばかり。独創性の中に温かみがあり、患者らの心を癒やし続けている。
10回目となる展示会「Accessory身にまとう自然展」(来年1月30日まで)では、白いケント紙で作った王冠やネックレスなど21点を展示。レースのように繊細な網目模様を切り抜いたベールや、風をイメージしたブレスレットなどが目を引く。
徳大病院は、09年9月に西病棟が完成した際にギャラリーを設けた。当時の院長から展示内容について相談された武蔵野美術大の板東孝明教授(グラフィックデザイン)=徳島市出身=が、学生の作品を定期的に提供することになった。
板東教授が受け持つ基礎デザイン学科2年生の授業で学生が制作した作品を展示している。授業では、ありふれた素材に芸術的な価値を与える創造力を鍛えることを狙っており、紙のほか、輪ゴムや定規といった日用品を用いた作品が多い。
開催中は、鑑賞した患者らが感想を自由に書き込めるノートを置いている。そこには自らの病状や闘病中の心境とともに「暗い気持ちが少し明るくなった」といった感想がびっしりと書き込まれており、学生たちの創作意欲を高めている。
板東教授は「学生と共にいい作品の創作、展示に努め、芸術の力で少しでも多くの人を癒やしたい」と話している。